お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

キャントストップ/Can't Stop

ボードゲーム名作シリーズとして「キャントストップ」を紹介します。キャントストップは、巨匠・故シド・サクソン(Sid Sackson)によるデザインで1980年のボードゲーム(ダイスゲーム)です。古典的名作と言って良いと思います。これまで色々な会社から色々な見た目で発売されました。近年は日本語版もニューゲームズオーダー社から発売となりました。

盤面には11個の進むべき道(版により登山道だったり道路のレーンだったり)があります。それぞれの通路には2から12の数字が割り振ってあります。各プレイヤーはダイスを振って駒を各道でゴールまで進めることを目指します。3つのコースで勝者となったらその人の勝ちです。何回も繰り返しダイスを振ることもできて、勝利に近づくこともできますが、そこまでの成果を失うリスクもあります。

各手番ではダイスを4つ一緒に振ります。その結果を2つの組に分けます。それぞれダイスは2つづつです。組み合わせは自由です。それぞれのダイスの組の目を足し算します。例えば、目が「2」、「4」、「5」、「6」であれば、「2+5(=7)」と「4+6(=10)」に分けることができます。そして、それぞれの合計に対応する道の自駒を1歩進めます。

ここで止めれば次手番は続きから駒を進めることができます。しかし、さらにダイスを振ることもできます。その場合は、さらに追加の駒を(これまで駒を置いていない道に)登場させたり、既にある駒を進めたりできます。リスクもあります。各手番で進めることができる駒(=道の番号)がない場合はいわゆるバーストで、その手番は無駄となります。前手番の開始時点に駒が戻ってしまいます。そして、各手番に動かすことができる駒は3つまでですし、ゲームが終盤となると誰かがゴールしていて参加できない列があります。

ダイスゲームでよくあるように、勝っているときは手堅くそこそこの回数で振るのをやめておき、不利なときはリスクを取って挑戦します。しかし、キャントストップではそれだけではありません。盤面をよく見る必要があります。

ダイス目が出やすい7前後が出ているときは挑戦する回数を増やします。また、各道での2位以下には意味がないので、ぎりぎり競ってるときやチャンスにはさらにダイスを振って挑戦したくなります。さらに、ゴール済みの道が出てくると、その数字は無効となってリスクが上昇するので、序盤は何度も振ろうというモチベーションとなります。それでいて終盤は目の前のゴールを目指したり、逆転対策や逆転を目指すために何度も振りたくなるのです。

各道は数字ごとに長さが異なります。ダイス目が出やすい7前後は長く、出にくい2や12は極端に短くなっています。これが他の仕組みと相乗効果をもたらします。大逆転も夢ではありません。

リスクはあるものの上手くいけばいくらでも駒を進められるため、ゲーム名のキャントストップ(=やめられない、とめられない)の通り、つい何度もダイスを振ってしまいます。そして、大抵の場合勝者は無理して(ちょっと確率を無視して)ダイスを振り続けて上手くいった人です。運に翻弄されつつ、上手くいったときはその運を乗り越えたかのような気持ち良さがあります。

ボードゲームアリーナ(Board Game Arena)では最初のチュートリアルがこのキャントストップです。プレイ時間の短さやボードゲームの王道感からも適切だと思います。

クラシックな名作と呼んで良いと思います。

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Can't Stop

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