東京国立博物館で開催中の「顔真卿 王羲之を超えた名筆」展に行ってきました。挑発的な名前ですが、ゴージャスな展示の展覧会でした。
顔真卿も王羲之も、書で有名な昔の中国人です。王羲之は書聖とも呼ばれる人で、字とはこのようなカタチが美しいのだとばかりに文字を書き、後の基準となりました。その王羲之と比較される顔真卿、今回の主役です。顔真卿は王羲之よりも後に、伝統的書法を身につけつつも新しい美観で書の歴史に名を残す人です。古典をやっていると、なんだかこの人だけ他とは全然違う字を書くのです。
台湾・台北の国立故宮博物院から来た祭姪文稿ばかりがメディアを騒がせますが、他もとにかくゴージャスな展示でした。例えば、王羲之・蘭亭序の褚遂良による臨書(筆で書いた写し)「黄絹本蘭亭序」が他の展示と一緒に王羲之を説明する展示に並んでいたり、本で見た書が同様にあります。
さらに、家に帰って本棚の「すぐわかる 中国の書」を開くと、展示してあった作品が載っていてショックを受けたり。懐素の自叙帖など。
書体の歴史などの展示やそれに沿った書の展示もよくできていると思いました。
今回の展覧会では、顔真卿の後世への影響もテーマの一つとして扱っています。日本の書も顔真卿の影響を受けているとして展示があります。そこで改めて思うのは、日本の書は紙も派手なものがあり、文字が流水や風のような自然に似ているということです。それに対し、中国の書は紙は地味で、文字そのものは、これが人工物だ、文明だと言わんばかりに存在感があります。自然の山に石碑が建つかのようです。この迫力は好きです。
ちなみに、あまり人気が出ないと予想していたら大混雑で、日曜日の朝9:30の開館時間に到着したのに、チケットを買うのに約30分待ち(博物館敷地の外まで行列)、平成館の展覧会に入るのに30分待ち(写真)、祭姪文稿を見るのに30分待ち(看板には70分待ちと書いてあった。130分待ちと書いてある時間帯も)でした。
今週末まで。もう一度見に行きたくなる展覧会でした。
(なお、写真はすべて撮影可能となっているところ)
リンク
- 【公式】特別展「顔真卿―王羲之を超えた名筆」 https://ganshinkei.jp/
- 東京国立博物館 - トーハク https://www.tnm.jp/
- 東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1925
- 東京国立博物館 - 1089ブログ http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/100/
- 中国の著名書家「顔真卿」の日本展が中国で炎上している理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/192728
- 東京国立博物館の『顔真卿展』に激怒する現代の紅衛兵 | 風刺画で読み解く中国の現実 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト https://www.newsweekjapan.jp/satire_china/2019/02/post-7.php
- 話題の東博「顔真卿展」でメディアが報じない名画・五馬図巻の「奇跡の発見」 WEDGE Infinity(ウェッジ) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15323

- 作者:
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2018/08/01
- メディア: 単行本

- 作者:
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本

王羲之と顔真卿: 二大書聖のかがやき (別冊太陽 日本のこころ 270)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2019/01/24
- メディア: ムック