たまたま観た放送大学のテレビの「近代ヨーロッパ史(福井憲彦 学習院大学教授)」という講義で、産業革命が変えたものの1つとして人の働き方を挙げていた。チャーリー・チャップリンの映画、「モダン・タイムス」を紹介して、「機械のリズムに合わせた労働」の登場を指摘していた。
さて、近年IT革命という言葉が使われるほど、企業や官公庁にコンピュータシステムが導入されている。そこでの人の働き方も変わっているはずだ。人文系の世界でそれらについての研究は進んでいるのだろうか。
ITといっても決して新しい事ではない。大企業や官公庁では事務処理を効率化したり意思決定に役立てるためのシステムを何十年も前から開発して使用している。エンジニア向けサイトや雑誌、ビジネス雑誌によれば最近は中小企業へのシステム導入も進んでいるらしい。規模は日本のソフトウェア産業の中心といってもいい位のお金が動いている世界だし、「SE」といえばこの業界の人が多い。そろそろ定年退職者が大量に出るといわれる位の歴史はある。職場で、親が今でいうSEだったという人にもあったことがある。パソコンやインターネットよりも歴史ある世界がそこにはあるのだ。さらに、森内閣が始めたe-Japan計画は今も生きていて国を挙げてそれをさらに進めている状況だ。
僕が今まで目にした、企業システムについて書かれた中でエンジニア以外の人向けのものは、NHK出版の「新・電子立国」だけだ(「新」でない「電子立国」は別の本。そちらは半導体についてで、「新」はソフトウェアとコンピュータについて。図書館でもよく見かける。)。それでもオフィスで使われるシステムについてではない。
これほど多くの職場で使われ、さらに広がろうとしているコンピュータシステム。そこで働く人の生活や健康、ひいては社会への影響も少なくないはずだ。それについて取り上げられる事が殆ど無いのは少々寂しい。この分野をブロガーが書くには、自身の経験について書くと企業秘密の問題があるし、他者への取材は難しい。新聞やテレビなどのマスメディアに期待したい。
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