お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

音楽配信も将来は付加価値の時代に?

5月25日(月)の読売新聞の文化面で、「『配信』加速 音楽はどうなる?」として、パソコンや携帯電話向けの音楽配信について3人の人のインタビューが載っていた。それを読んで考えた事などを脈略無く色々と。

音楽の演奏には、それぞれ最も適した”入れ物”がある。 (中略) この伝で行くと音楽配信に最も乗りやすいのは、短く切り刻まれた現在の音楽で、フルヴェングラーが指揮した交響曲など内容の重い作品はどうもなじまない。つまり”入れ物”が中身をおのずと規制する。 (CDで聴く重み増す 黒田恭一

なるほど、考えもしなかった。iTunes Music Store では、曲を30秒試聴できる。沢山売れるのは試聴時間内に分かりやすい曲になるのもあるかもしれない。CMの曲に似ている? でも細切れで曲を聴くのは、ウォークマン以降、それなりに歴史があるような気もする。
かつて、ネオ・ジオCDというゲーム機でこんなことがあった。このハード向けに発売されるゲームはゲームセンター向けに発売されたゲームをそのまま移植したものだったのだけど、音楽だけはアンレンジバージョンとして音楽CDとして発売されたものが採用される事が多かった。これの問題として、曲が盛り上がるタイミングがゲーム内容が盛り上がるタイミングとずれる事があった。例えば、曲がやっと盛り上がって来たらそのシーンが終わって曲が変わってしまうことがあった。それで、元のゲームの曲は落ち着いた曲でも常にハイテンションな事に気づいた。普通の音楽とは少し違うけれど、作曲する人はその辺はその辺も意識するのだろう。

CDなどでは説明書や歌詞カードといった作品理解の手がかりがついてくるが、音楽配信では曲だけが素っ裸の状態で届く。そんな形態に適した音楽が多く出てくるのは当然だろう。 (CDで聴く重み増す 黒田恭一
CDなどのパッケージ商品は大きさ、重さ、コストなど、様々なものに影響されるが、配信にはその要素が少ない.いろいろな事が考えられ、自由がきく。アーティストやプロデューサーにとっては、使いこなせれば極めて可能性が広がるメディアだと思う。 (外国 ぐんと近くなる 佐藤剛
ただ、配信はあくまで曲単位。曲の並びや構成、ジャケット・デザイン、映像など付加価値的特典なども含めた総合的な表現のアルバムという形態は配信にはなじまず、CDなどパッケージ・ソフトが主流にならざるを得ない。送り手の音楽家も、この表現形態を放棄するとは思えない。 (アルバム売る呼び水 小池恒)

なるほど。CDは現在総合的な表現だが、音楽配信は曲だけで勝負しているとも言えそうだ。iTunes Music Store を見るとジャケットのイラストが沢山表示されるし、購入するとそのジャケットのイラストもダウンロードされて、iPod ではそれが表示される(はずだ。僕の iPod は古いので Mac でしか見る事ができない)。ただ、購入前にそれを見る事ができるかと言うと、ジャケットのイラストが並ぶのは売れ筋の曲や新曲が多く、そうでない曲のジャケットは、検索した結果の画面で見る事になる。ジャケ買いの機会は少なく感じる。
音楽配信が普及して、複数のサービスで同じ曲がダウンロードできるようになると、付加価値の勝負になるのかもしれない。「うちで沢山曲を購入すると、印刷されたジャケットを郵送でお届けしますよ」、「ジャケットはあなたがダウンロードした曲に合わせたあなただけの内容になりますよ」とか。後者は iTunes では自分のプリンタでできるのだけど(「アップル - iTunes - プレイリストの作成」参照)。