お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

さまよえるオランダ人/Der Fliegende Hollander



カタンのクラウス・トイバーによるデザインのゲームです。1992年ドイツゲーム賞受賞作。つまり、カタン以前のボードゲームです。
手元の「ドイツゲームでしょう!」に面白い経緯があります。

このゲームは当初、日本のバンダイとドイツのフキ社のジョイントベンチャーによって制作された。しかしバンダイは数か月で撤退、代わってアメリカのパーカー社が引き継いだが、これもうまくいかず『さまよえるオランダ人』はそのまま絶版となっていまう。
ドイツゲームでしょう! -四大ゲーム賞受賞作 全66タイトル-, 小野卓也, グランペール, 2007年

当時の僕はこれを読んで欲しくなり、間違って2つ買ってしまうのでした。
日本語版が発売とのニュースが入ってきたので、しばらく前に引っ張り出してきて再プレイ。

プレイヤーは交易商となり、各自、自分が株券を持っている色の船が商売で成功することを目指します。
(株券は開始時に配られる3枚を隠し持ち、増えることはありません)
と言っても、どの色の船の株券の価値も、基本的には1ラウンド進むたびに1段階上がっていきます(盤外周の港と船コマで表示されています)。
このゲームで、商売を妨げる唯一の危険は「幽霊船」です。
海には「さまよえるオランダ人」と呼ばれる不幸を呼ぶ幽霊船が徘徊していて、これに出会った商船には破滅が待っています。
具体的に言うと、その船の株券の価値が暴落して0になった上、その時その色の株券を持っていたプレイヤーは全員、暴落前の株券価値x所持枚数分の罰金、という。辛い!かなり高くなった自分の株券が暴落した時には、ホントに破滅級の衝撃があります(笑)。

http://www.b2fgames.com/article.php?story=20160226150201523

これが他人の手札を覗いたり想像しながら腹黒い一手を考えるいいゲームです。
Aさんが手を打つ。それを基にBさんが考えて手を打つ。AさんとBさんの行動を基にCさんが手を打つ。それを繰り返している感じ。それが面白い。
しかも、きちんと1時間で終わります。このぐらいの重さのゲームが好きです。
この翌年1993年ドイツゲーム賞を受賞したのが《モダンアート》です。どちらも僕は十数年遅れでプレイするわけですが、これら90年代のドイツゲームはとても優れたものだと思っています。どちらも日本語版が登場しているいま、是非体験することをお勧めします。