5月5日のエントリー、「はてなキーワードは Wikipedia を目指さない方がいい 新明解国語辞典を目指そう」についてもうちょっと考えてみた。
三省堂のサイトにある、「三人で語る 新明解国語辞典」にヒントを探した。
山田さんは本当の主幹で、その主観がちょっと混じってる。(笑)それでね、そのことがかえって良かったと、私は思うんです。というのは、いわば個性あふれる辞書になった。
でもとにかく、読んでいてなにか、だんだん深入りしていくと、人格を感じてくるんです、一人の。
文中の「山田さん」とは、初代の編集主幹をされたという山田忠雄さんという方の事。同ページによると、この人がほとんどワンマンで新明解国語辞典を編集したらしい。
いきなり問題が発覚。新明解国語辞典は1人の編集主幹の主観で書かれた辞書だった。しかも面白い理由はそこ。しかし、多くの人で編集するはてなキーワードの仕組みと相反する。
本題から外れるが、これは Web 2.0 の根幹をなす「参加のアーキテクチャー」という考え方の正反対で出来た辞書だ。しかも反骨的。参加のアーキテクチャーで出来たものがある程度の品質や量になったら、今度は1人のすごい人がつくったものが人気になるかもしれない。みんなの意見は案外正しいかもしれないけれど、もしかしたら中間的で面白くないものになっているかもしれない。
魚の項目で、いろいろ科学的に書いてあって、最後に「おいしい」とか「うまい」と。何だか可愛いんですよね。
これは金田一春彦さんが書いておられたと思うんですが、三省堂の辞書の場合は、ただ科学的に分析するだけでなくて、日常にある状態を表そうとしている。ふつう一般人は魚の分解図を見るわけじゃなくて、まず食べるものとして見るので、「おいしい」というのは意識的に示してあるんだ、みたいなことを書いていた。やっぱり社風というか、なんか要するに、できるだけ具体的にという態度が強いんじゃないですか。
前回のエントリーに書いた、銀河ヒッチハイク・ガイドとギャラクティカ大百科の関係に似ている。この例では、魚を生物学的に解説するのではなく、食べ物して解説している。
まさにはてなダイアリーに合った部分だ。日記の用語解説はどこに力を入れると訳に立つのかを考える役に立つ例だろう。
ただ、「うまい」では多人数で編集するのに向いていないだろうし場合によっては編集合戦になりそうなので、もう少し普遍的な表現を取った方がはてなキーワードではいいと思う。本やDVDのページのように、はてなキーワードページに署名付きで複数の解説を書けるようにすれば解決できるかとも考えたけれど、読者の役に立つかが疑問だ。
ある教科書会社から出た辞書で、中学生向けの学習辞書です。なんと、用例の九十パーセントがスポーツ用語。編者がスポーツマンなんですね。
そういえば、用例だけ、わりに自由にできるという感じはありますね、辞書の中で。
だから、如月さんが辞書を作ったら、用例は劇のことばかり。しかし、決して過激にはなりませんね。(笑)そういうものなんです。それは複数の人が見て、チェックしないといけない。
こ、これだ。はてなキーワードなら用例にはどの人も趣味を反映したおもしろ文章を書く事が出来る。一見完成されたキーワードページにも追記できるのもいい。多少数が増えても、つまり多くの人が用例を書いても問題がなさそう。
でも、あまり平均化してしまうのも。なんか特色があってほしいですね、読者としては。
読者とおっしゃるところが、やっぱり「新解さん」。(笑)ふつうは辞書の場合、利用者、使用者ですね。辞書の読者という観念をもってきたのがこの辞書でしょうか。
これは表現がうまいなあ。はてなキーワード読者としては、ダイアリーページからキーワードページへリンクをたどると、そのページ単体で読める事が書いてあるのがいいと思う。
今回学んだ事から、「はてなキーワード新明解国語辞典化計画」(今考えた。前回の「はてなキーワード2.0」はネタという事で。)実行の為に、すぐに実行して問題がなさそうな事を考えてみた。
- 日常生活に即した、または日記に書きそうな視点から見てキーワードを解説する。
- 「はてなダイアリーのヘルプ - キーワードを作る・編集する」でいう普通名詞に身近な用例を追加する。
- 追記(5月11日)
- 関連エントリー「漫画家や作家のはてなキーワード」を書いた。