前回のエントリーに書いたように、テレビ東京の経済ニュース、ワールドビジネスサテライト(WBS)「ウェブ進化論」の作者、梅田望夫氏(id:umedamochio)が出演した。
普段の WBS や日経新聞とはまったく異なる視点からビジネスやこれからのビジネスマンについて話があった。今回はそれで刺激を受けた方が、その情報についてもっと詳しく知ることが出来る本や雑誌、インターネット上の情報を、僕が読んだ事のあるものの中からまとめた。ご参考になれば。
- WBS 公式サイト「ネットの未来 〜世界の労働力がタダに!?〜」
- 梅田望夫氏のブログでの出演予告「My Life Between Silicon Valley and Japan - 4月7日(金)午後11時「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)」
ウェブ進化論と作者のブログを読む
まずは WBS にゲストとして出演していた梅田望夫氏による情報から。まずは、梅田氏の著書「ウェブ進化論」がお薦めだ。本を読んだら出版以降の梅田氏のブログを読む事を薦めたい。
梅田氏はここ数年ブログを書かれているが、ウェブ進化論はそこでの主張をまとめた内容だ。本と出版以降のブログを読めば、梅田氏が WBS で話していた事と周辺の事が理解できると思う。WBS でのアメリカの大学生の話はブログに、「アメリカの大学生のネットワーキングの凄さ」として本発売後に書かれた事だ。
ウェブ進化論を薦めるのは作者が日本企業向けの経営コンサルティングをしてきた人で、この本もインターネットを積極的に利用している人と、そうではないがこれまで日本企業で活躍してきた人の両方に分かる言葉で書かれた本だということだからだ(僕は大学生の間に Google が出来た世代で後者が本当かは正直なところ分からないのだけど)。インターネット業界に進みたい学生ならばこの本が背中を押してくれるかもしれない。
また、ブログを読めば内容への反論も見る事が出来る。
- My Life Between Silicon Valley and Japan (梅田望夫氏のブログ)
- 2006-01-11 今年は本が出ます。「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」(梅田望夫著 ちくま新書) (この日以降を読むのがお勧め)
Web 2.0
ウェブ進化論のキーワードの一つが「Web 2.0」だ。最初に言い始めた人の一人、Tim O'Reilly (ティム・オライリー) 氏が「What Is Web 2.0」という論文を Web で公開している。この言葉はインターネットの新しいもの好きやインターネット企業で人気になっていて、様々な解釈がでている。O'Reilly 氏の What Is Web 2.0 を読んでおく事が重要だと思う。「バブル崩壊 を生き延びた企業には、いくつかの共通点があるように思われた。」事などから、それらの共通点をまとめ、これから発展するであろうインターネット企業の特徴をまとめたものだ。
- What Is Web 2.0 (原文 英語)
- Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(前編) (翻訳 前編)
- Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(後編) (翻訳 後編)
ただ、この文書少々長いし周辺の知識が多少いる。その辺りをまとめた雑誌が出版されている(新しい分野なので雑誌以外の書籍は少ない)。一番のお薦めは「インターネットマガジン 2006年1月号」だ。「新しいネットビジネスの創り方に着目せよ」として Web 2.0 を意識したビジネスをしている企業の人が記事を書いている。インターネットに多少詳しい人向けではある。O'Reilly 氏へのインタビューもあるし、先ほどの What Is Web 2.0 の翻訳も載っているのがいい。
ただ残念な事に Amazon では売り切れのようだ。出版社が通信販売もしているのでそちらなら購入できるかもしれない。書店ならばコンピューター関連書籍のコーナーでよく見る。僕の家の近所では図書館にも置いていた。What Is Web 2.0 を本の形で読みたい人には同じ出版社から「Web Master 完全ガイド Vol.2 Impress mook」という本が出ている(僕は未読)。ただし、他の記事は仕事でサイトを公開しているプロ向けのようだ。
「ウェブデザイニング 2006年2月号」でも特集を組んでいる。ビジネス的な事には触れておらず、技術的な事な話題は少ない。Web で起きている事の流れを知るにはこちらの方が分かりやすいかもしれない。いわゆる理系でない人にはこちらの方が分かりやすいかもしれない。
もう少し哲学的なあなたには「Intercommunication 2006年winter」を。僕には難しすぎるところがあったけど。
- 追記(5月12日)
- インターネットマガジンの Web 2.0 関連記事を集めた「Web2.0への道」というムックが発売された。他の号も含めた大ボリュームの記事を1500円で読む事ができる。Tim O'Reilly の論文とインタビューはもちろん、ブログ関係の記事も充実している。この本でしか読めないインタビュー記事の価値が高い。
iNTERNET magazine 2006年1月号 make innovation with technology ! [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2005/11/29
- メディア: 雑誌
- ウェブデザイニング 2006年2月号
- Intercommunication 2006年winter
Google って何だ
WBS でも出てきたし、ウェブ進化論でも話の中心だった Google。Google を知るのに一番いい方法は使ってみる事だろう。詳細な使い方は「Google について」が詳しい。
Google という企業のビジネスモデルや文化について詳しく知りたい場合は、「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」という本がお薦めだ。Google を中心に、アメリカの検索業界の歴史を追っている。これが優れているのは取材が多い事だ。検索エンジンを開発した技術者や創業者、経営者へたびたび取材を行っている。Google 経営者の考え方やその変化が分かる。ロングテール的なビジネスについての解説もあり、「一回五セントで一〇億ドル~インターネットが金の卵を産む」という章を作って解説している。
Amazon って何だ
Amazon は通信販売の会社だ。だが、買い物をしなくてもその魅力の一端は味わう事が出来る。まずは次のアドレスを開いてほしい。
そして、本棚にあるお気に入りの本を探してその解説を検索してみる。たいていの本はあるはずだ(まずはここがすごい)。画面左上の「サーチ」を利用すれば簡単だ。詳細ページには他の客による評価が書かれているのが分かるはずだ。まずここが普通の本屋とは違う。
次に、「この本を買った人はこんな本も買っています」と紹介されている本の解説ページを見てみよう。それを何回かやったら、次のアドレスを開いてみよう。
これまでに見た商品をもとにお薦めの品を提案してきたはずだ。Amazon に会員登録して買い物をしていると、同様に購入履歴が Amazon に保存されて、人によって異なる商品をさらに細かく分析して提案してくる。ロングテール部分の商品を売る仕組みだ。
ちなみにこのブログのリンクを経由して Amazon で買い物をしていただくと、僕に紹介料が入る仕組みになっている(この文書をご覧になって紹介した本が欲しくなったら是非このページ経由でご購入ください)。これもロンテール部分の商品を売る仕組みだろう。売れ筋でない商品もそれを気に入った消費者が紹介してくれる仕組みだ。
自分で作りたい
WBS やウェブ進化論で紹介されていた様なサービスを自分で作りたい人へ。僕も作ってみたいものがあるので勉強中だ。プログラムを書く事がある仕事をしているけれど、インターネットとは関係がない分野なので。
「最新WebサービスAPIエクスプロ-ラ ~Amazon、はてな、Google、Yahoo! 4大Webサービス完全攻略」という本が僕には役立った。必要な技術が何かを広く浅く解説している。モチベーションを上げるのにも役立っている。
最新WebサービスAPIエクスプロ-ラ ~Amazon、はてな、Google、Yahoo! 4大Webサービス完全攻略
- 作者:
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2005/09/23
- メディア: 大型本
最後に
見返してみると、読むのに技術的な知識が必要な情報が多くなってしまった。でも、これがこの世界の現状を表しているのではないだろうか。今は技術者や技術が大好きな人たちが切り開いている分野なのだと思う。そういう意味でビジネスマン向けの言葉で書いたウェブ進化論が新しかったのだろう。