お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

WBS で「ウェブ進化論」 - ロングテールと新しいものづくりの形

テレビ東京の経済ニュース、ワールドビジネスサテライト(WBS)で4月8日(金)に「ウェブ進化論」の作者、梅田望夫氏(id:umedamochio)が出演した。主に、リアルの世界とは異なるコスト構造を持つインターネットの世界では、ロングテールの法則に基づいたビジネスがすでに始まり、新しい形のものづくりも始まっているという話。

梅田氏はシリコンバレーコンサルタントをしている人で、このブログのある「はてな」の役員でもある。先端的なインターネットビジネス、いわゆる Web 2.0 的なビジネスと旧来的な(というか現在主流をしめる)ビジネスの両方に詳しい人だ。
これまで僕がこのブログで、「WBS には今後もインターネット関連の特集を期待したい。次はインターネットでの広告特集を見たいなあ。」とか、「 WBS にも今度は、情報を発信するだけでなく双方向で情報をやり取りする事の影響も取上げて欲しいものである。」と書いていたのが遂に伝わったのか!
冗談はこの位にして番組の話を。内容は書籍のウェブ進化論や、それを出版後の梅田氏のブログの内容と比べて新しい点はない。主に、リアルの世界とは異なるコスト構造を持つインターネットの世界では、ロングテールの法則に基づいたビジネスがすでに始まっているという話の解説と、同じくそのコスト構造に基づき新しい形のもの作りも始まっているという話。
ロングテールから利益を上げようとしている企業の取材はよかった。
無名のミュージシャンの音楽を扱う会社、「に・よん・なな・みゅーじっく」の社長は、沢山は売れない CD の流通のさせ方について語る。ここで出てきた社長は丸山茂樹という方で、元ソニー・ミュージックエンタテインメントの社長だ。WBS の視聴者層に影響を与えられる人なのだろう。(ここで話をしていたバンドの人は話が筋道たっていてわかりやすかった。元サラリーマン?)

新しい形のもの作りでは Wikipedia が例として挙げられていた。誰でも書いたり訂正できるインターネット上の百科事典が、5年でかなりの出来になったという話だ。こういう話の時は、Linux などのオープンソースの形式で開発されたソフトウェアの例を挙げる事が多いが、今回はそうではなかった。考えてみればソフトウェアの開発を説明するのは難しい。そもそもオープンソースでないソフトウェアがどのように作られているのか知らない人が多いからだ。Wikipedia ならば百科事典なのでわかりやすい。

はてなにもカメラが入っている。社外の一般の人の力を利用する為に、社内の情報の情報を公開している企業の例だろう。はてなでは会議を録音してインターネットで公開している。
興味深いのは視聴者に馴染みがない、あるいは目に見えない事を説明するための番組の工夫だ。例えばロングテールの説明では恐竜の模型のしっぽに毛糸を結んでその先をぐるぐる巻きの球にしていた。そして、このしっぽの部分はとても細くて市場価値が無いと思われていましたが集めるとこのように大きな価値があると説明するのである。
取上げた例も、この番組の主な視聴層のビジネスマンにわかりやすく、また信用されやすい例を挙げたと思う。
今回の番組の内容は、ウェブ進化論を読んだり、梅田望夫氏のブログを読んだり、Web 2.0 というキーワードを追いかけている人には特に新しい内容ではない。しかし、ウェブ進化論の本からこの部分を取上げた事と、その説明の仕方がとても勉強になった。会社の上司などにインターネットビジネスについて話す機会には役立つと思う。
過去にWBS について触れたエントリー

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

追記(2006年4月9日)
WBS で「ウェブ進化論」 - もっと詳しく知る為の情報源を書いた