梅田望夫氏(id:umedamochio)著「ウェブ時代をゆく」を読みました。実は発売日の11月6日に買って、割とすぐに読んだのではいたのですが。
この本は、一時ハリー・ポッターよりも売れたという「ウェブ進化論」の、言わば続編です。
立派な書評みたいな事は書けないので、後で読み返すために付箋紙を挟んだページの見出しを抜き出して、特に思うところがある部分についてだけ感想を書こうと思います。
オプティミズムを貫く理由
利便性と自由の代償としての強さを
グーグルは...(中略)...シリコンバレーのルーツとも言うべき過激な思想を色濃く受け継いでいる。テクノロジーこそが反中央・反権威の個をエンパワーするもので、その力を起爆剤に現状を破壊しフロンティアを切り開くという考え方である。各個人の自由を最大限尊重すべきだとし、国家や体制に縛られるのを嫌うリバタリアン的な考え方と、カリフォルニア的なテクノロジー至上主義(個の力を強めるパーソナルテクノロジーや管理されないネットの自由を信奉する)が結びついた考え方である。
PC やインターネットの魅力ってここだよなあと再確認。
初めてウェブに接続した頃(1998年)は、企業などの公式サイトと個人サイトが同列に存在している事が面白かったなあなどと言ったことを思い出します。ワープロを初めて使った頃(1989年頃)も、個人で活字を打ち出せる事に感動したものです。
グーグルの取締役会には、...(中略)...シリコンバレー保守本流の大物達が社外取締役会として名を連ね、グーグルの「存在意義」が引き起こす社会との軋轢を監督しながら、その妥協点について助言を与えている。
...(中略)...
グーグル取締役会は、「シリコンバレーの思想を体現した大人たち」から構成されており、社会通念と安易な妥協をしない「強い取締役会」としてグーグルを支えている。
これには驚きました。Google が、ただ若い人達の集まりではなく、「大人たち」が社外取締役会として助言しているとは。
それでブック検索や、Google Earth でも強気の行動を取り続けているのですね。
日本のシステムで息苦しい思いをしている人のために
「大組織で成功できる要素」になるほどと思う。
自分の志向性を細かく定義するプロセス
「ロールモデル思考法」になるほど、自分も考えてみようと思う。
行動に結び付けてこそのロールモデル思考法
「文系のオープンソースの道具」が欲しい
「文系のオープンソースの道具」が欲しいというのに妙に納得。具体的なイメージを7つも挙げているのには驚きます。
僕は、コンピュータの技術に詳しくない人にも技術の恩恵があるように SE になりました。だから、これはとても重要な事だと思うのですね。
群衆の英知を味方に付ける勉強法
二〇〇六年八月九日、「bookscanner記」という名の最高に面白いブログがひそやかに始まった。
...(中略)図書館の本をスキャンするプロジェクトについて彼が深い理解を示し、最新情報にも精通している事を知った。...(中略)...私は、彼にブログを書くことを強く勧めた。公開情報を丁寧に解釈して解説するだけで、それだけの専門性があればすばらしいブログになると。
"http://d.hatena.ne.jp/bookscanner/" についてですね。このブログの存在は、この「ウェブ時代をゆく」で知りました。
ちょうど、マイミクがブログを開設したばかり(http://d.hatena.ne.jp/higedice/20071224/1198463055)ですが、この部分には大いに納得し、大いに同意しました。この本で一番記憶に残っている部分かもしれません。
僕の周りを見渡しても、大学院の博士課程に通っている学生や、mixi の日記で時事問題について深い考察をしたり、面白い情報を持って来たり、ボードゲームなどの趣味の世界について深い知識を持っている人が居るんですね。彼らがブログを書けば、非常に良いものがウェブに公開されることになるのになあとよく考えます。
この節では、いわゆるブログの炎上時にとった行動が書いてあり、勉強になりました。
小さな会社で働き、少しでもいい場所に移ろう
自らの内部にカサンドラを持て
「組織や仕事にこんな兆候があると危険だという注意事項を五つ」には注意したいと思わされる。
「古い価値感」に過剰適応しては行けない
「時代の変わり目」を生きるためにいちばん重要なのは、「古い価値感」に過剰適応しないことである。そのことに自覚的かつ意識的であって欲しい。
気をつけなければ。