お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

銀河ヒッチハイク・ガイドの感想

銀河ヒッチハイク・ガイド(asin:4309462553)」を読んだ。今回はその感想。Google 名前の由来になったとか、Google の電卓機能で「人生、宇宙、すべての答え」が計算できるとかで話題になったSF小説だ(グーグルが電卓機能を強化--人生、宇宙、すべての答えは? - CNet Japan を参照)。映画にもなっている(asin:B000CS46YQ)。
あらゆる場面で風刺というかブラックジョークが出てくるドタバタコメディーSFだ。「アニー・ホール(asin:B000CIXJ6M)」という映画を思い出した。こちらはインテリによるインテリ風刺みたいな映画。
後者を観た後に前者を読むと少々物足りないところがあるけれど、ヒッチハイクの方はSF的なスケールの大きさがいい。
銀河ヒッチハイク・ガイドの主人公、アーサー・デントは平凡なイギリス人だ。アーサーはある日突然バイパスを造る為にブルドーザーに家を壊されてしまう。「計画はもう9ヶ月も前から地元の設計課で閲覧できるようになっていた」という。なんだか最近のPSE法の話みたいだ。しかし、その日のうちに地球にUFOが大量に飛来し、地球は破壊されてしまうことになる。地球が超空間高速道路の通り道にあるからだという。しかも、そのことは地球年にして50年前から張り出してあったという。ただし、地球から4光年離れた場所に。
「ばかな、アルファ・ケンタウリに行ったことがないだと? まったくなにを言い出すやら、たった四光年しか離れていないではないか。気の毒だが、自分の住む宙域の問題には気をつけておくべきだったな」こう言って工事担当の異星人は地球を破壊してしまうのである。
この小説は細かい皮肉が多いが、思いつきの細かいネタの集まりに終わっていないのがいい。日々の生活における幸せとは何かといった内容に踏み込んでいる。
例えばこんな感じだ。

この宇宙船のドアはすべて快活明朗な性質を備えています。通る人の為に開くのが喜びであり、仕事を無事果たしたと知ってまた閉じるのが幸福なのです。

わたしはあなたたちをブリッジに連れてこいと命令されました。たぶんこれが、知的能力を要求される本日最大の仕事でしょう。だとしても驚きはしませんが

ストーリーの後半はばかばかしさを越えた面白さがある。
さて、「アニー・ホール」は世の中の賢い人はみんなおかしくて不幸、幸せを感じているのはみんなばかだという強烈な映画だ。見ていて気分が悪くなるときがあるくらいだ。
主人公はデートでドキュメンタリー映画を観ようとしたり、警察官に運転免許証を見せろと言われて免許を出すものの、「僕はどちらかと言うと反体制派でね」と言って免許を破り捨ててしまったりする。免許は取っているのに。
銀河ヒッチハイク・ガイド」も「アニー・ホール」非常に面白いコメディーなのだが、読んだり観たりするのにとても疲れる作品である。息抜きにというより、長期休暇でダレているときなどにお勧め。

追記(2006年4月2日)
河出書房新社 銀河ヒッチハイク・ガイドと、映画 銀河ヒッチハイク・ガイド 公式サイト へのリンクを追加