「非属の才能」を読んだ。
第1章から第5章までは、「はじめに」で言っている事を繰り返し様々な例を挙げながら主張しているだけだ。展開の論理にも疑問を持つ事もあった。だが、それはわざとそうしているのだろう。著者は、受験勉強に明け暮れ大企業に就職する事を目指したり皆と同じものを見て同じ「空気」を共有する生き方を否定する。それをした皆が幸せになる事ができた時代は終わったと。人とは違う所を伸ばした人間に価値がある。これからの時代は後者に価値を見いだされる時代であると言う。村上龍の、「13歳のハローワーク」での主張と同じだ。
半ばまで読んで、主張には同意しつつもダレてきた。ところが、第6章からぐいぐいと引き込まれた。全246ページの本の205ページからだ。
引きこもりや学校で孤立してしまった人や、その保護者に対して、彼らの才能を開花させ、社会でうまくやりつつ個性を発揮する方法を具体的に示すのである。この本の真価はここにあると思う。
さて、次は、「日本でエリートになるためには...教科書に書いてある内容を正確に覚え(理解しなくてもいい)、それを一〜二時間の制限時間内に、筆記試験で再現させる能力をつければよい。もちろんこういう記憶力と復元力はエリートとして最低限、必要とされる能力である。しかし、それだけでは十分ではない。信頼感、指導力、共感力などの数値化されない、筆記試験で測る事ができない能力が真のエリートには必要とされるのである。」とまえがきにある、外務省のラスプーチンと呼ばれた佐藤優著、「人たらしの流儀」を読むとしよう。
- 作者:山田 玲司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/12/13
- メディア: 新書