梶井基次郎の「檸檬」という小説を読んだ。梶井基次郎は、昭和初期の作家らしい。文庫本で十頁の短編。
長い憂鬱感に苛まれている人の気持ちを、うまく表現していると思う。体験から言うと、憂鬱感にとらわれると、ずっと気持ちが暗かったり、全くもって何物にも興味が湧かなくなるのではなく、どうでもいいものにとてもこだわりをもってしまったりするものだ。しかし、それも長続きはしなかったりする。
主人公が、檸檬などにいだいた偏執的な感情も、逆に普段の憂鬱感、物事に興味をいだけないところを表現しているのではないか。