「チケット・トゥ・ライド・レガシー:西部開拓記」はいわゆる1度しか遊ぶことができないシステムのボードゲームです。「パンデミック:レガシー シーズン1」や「パンデミック:レガシー シーズン2」ではゲームが進む過程でコンポーネントに直接ペンで書き込みをしたり、封を開けたりしましたが、同様の仕組みがあります。
このゲームで特徴的なのは、ゲームが1回では終わらないことです。TRPGでいうキャンペーンです。ストーリーが繋がっていて、ゲームの進展があるたびに秘密の箱の蓋を開けて追加のコンポーネントを取り出したり、ルールの追加が発生したりします。前記の通りペンで書き込んだりと、基本的に繰り返して遊ぶことはできません。ボードゲームなのに! しかし、だからこそ作ることができたと思われる斬新な仕組みがあります。これが斬新なだけでなくとても面白い!
ルールの把握も本来ならば量が多くて難しくなるのですが、これがレガシーシステムのいいところで、プレイヤーたちは少しずつ学習してきているので複雑なゲームをこなす能力が付きます。そう言う意味で、かなり複雑なゲームを楽しむ機会を持つことができます。
作者・デザイナー3人はパンデミック・レガシーとチケット・トゥ・ライド(乗車券)の作者で、いわばドリームチームです。チケット・トゥ・ライドのアラン・ムーンは、書籍「ユーロゲーム」によればドイツのゲームに影響を受けたアメリカ人です。パンデミック・レガシーのマット・リーコックやロブ・ダヴィオー(カタカナ表記は適切だろうか)もアメリカの人で近い雰囲気を感じます。
注意! 以下ネタバレが少々あります。
今回、3人で全12回のゲームを終えました。
本ゲーム「チケット・トゥ・ライド・レガシー:西部開拓記」は大変に面白いものでした。「パンデミック・レガシー」は協力ゲームですが、このゲームは対戦型です。1回で完結しないキャンペーン方式で対戦型だと、一度開いた得点差が縮まらず、勝てないゲームに参加する事になって退屈してしまうのではと心配してしまいますが、その対策はしっかりとデザインに組み込まれていました。あまり具体的に書くとネタバレですが、想像の上を行く色々な仕組みが登場して飽きさせないだけでなく得点への配慮もされているのでした。ただ、得点のインフレが大きいのは納得感が低いかもしれません。
その色々な仕組みは、演出として面白いし、本当に色々なアイデアが盛り込まれていて驚かされました。ボードゲームで「アイデアが盛りだくさん」というのは必ずしも褒め言葉にはなりません(複雑になりすぎる、洗練が求められる)が、レガシー型ではこれがうまく機能します。
複数回プレイでの知識差への配慮もされています。
日本語版が手に入るうちに是非手に入れてプレイすべき、2023年のマスターピース的ボードゲームかもしれません。
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リンク
- チケット・トゥ・ライド・レガシー:西部開拓記 | ANALOG GAME INDEX https://hobbyjapan.games/ttr_legacy_legends_west/
- Ticket to ride Legacy Legends of the West | Days of Wonder https://www.daysofwonder.com/ticket-to-ride/legacy-legends-of-the-west/
- Ticket to Ride Legacy: Legends of the West | Board Game | BoardGameGeek https://boardgamegeek.com/boardgame/390092/ticket-to-ride-legacy-legends-of-the-west
- 「チケット・トゥ・ライド・レガシー:西部開拓記」の文化的な背景について(The Cultural Background of Ticket to Ride Legacy)|べよ https://note.com/behonest00033/n/n9383f3203e4a
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