「2020年ベストボードゲーム候補作品」でお知らせした通り、私ひげダイスが選ぶ2020年のボードゲームベスト10を選びます。
例年通り、2020年に初めてプレイしたか、とても久しぶりにプレイしたゲームが対象です。「パーラ」は2種のゲームが入ったゲームですが、全部で1つとして数えようと思います。
上位以外は細かい順位は決めません。10-7位を1グループ、6-4位を1グループとして発表します。3位から1位には順位をつけます。
では、2020年ベストボードゲーム10の発表です。
10位から7位
オデッセイ・ポセイドンの怒り/ODYSSEY la Ira de Poseidon
プレイヤー1人対残りの全員のチームが争う、いわばスコットランドヤード方式のゲームです。
(ポセイドン担当でない)プレイヤー達は盤面中央にある「聖なる島」を目指して各人担当の船を動かします。それが勝利条件です。ポセイドン担当はプレイヤーの内誰かが聖なる島に到達したら敗北です。
高度な「潜水艦ゲーム」かと思います。
ラマ:パーティーエディション/L.A.M.A. Party Edition
2019年ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品である「ラマ」にいくつか追加要素があるゲームです。逆転要素が大きくなり刺激的、爽快感も大きくする要素が加わりました。
ルールも短くプレイ時間も20-30分と手軽でありながら、考えどころがあります。ちょっとしたハンドマネジメント(手札調整)です。
グレンモア/Glen More
2020年は、「グレンモア/Glen More」と続編の「グレンモアII:クロニクルズ/Glen More II: Chronicles」の両方を初プレイしました。
ロンデル的仕組みでタイルを獲得して領地を拡大して、そこで各種資源を生産し、ウイスキー醸造等を行なって勝利点を獲得します。独特なゲーム性とアレアブランドに相応しい王道クオリティを両立したボードゲームでした。
トレッキング・ザ・ワールド/Trekking the World
システムは最近のゲームでありながらドイツゲーム的なシンプルさです。でも勝つのは難しい。効率良い移動経路を考えたり、他のプレイヤーを妨げる移動を考えたり、移動で手に入るキューブの色を考えたり、手札の補充方法(乗車券、チケット・トゥ・ライド方式)を考えたりします。
ひとつひとつの要素に目新しさはないかもしれません。しかし、全体として統合された完成度の高さがあります。「定番」とか「王道」という言葉を連想させます。
6位から4位
パーラ/Pala
2つのルールが同梱されています。基本部分は双方とも同じですが得点システムが全く異なり、プレイ感は全く異なります。
マストフォロー、切り札なしのトリックテイキングです。ただし、色(スーツ、スート)が多くあります。そして、その色を混ぜると他の色になります。手札から2枚出して混ざった結果の色でフォローすることができます(ミックス)。また、そのトリックの色(通常リードの色)に手札の1枚を混ぜて、その結果の色でフォローすることもできます(ぼかし)。
点描画法ルールではできるだけトリックを取るようにし、印象派ルールではトリックを取らないようにします。色を混ぜるルールが組合せを膨大にします。それを考えるのが楽しいゲームです。
バトルライン/Battle Line
2人用カードゲームです。やり込めばやり込むほど上達するゲームで競技性が高く、繰り返し遊ぶ価値があるとの声も聞きます。実際そう思います。
手札はランダムに配られますので、強い隊列(役)を作ることができる数はどうしても限られます。各戦線で相手よりもちょっとだけ強い隊列を作ることが勝利への道へと見えます。圧勝しても、他の戦線複数での負けにつながるのです。そうすると、相手よりも後から動く待ちの姿勢が重要となります。「うわあ、何も出したくないわあ」と言いながら毎手番カードを出します。
今年の初プレイではなく、久しぶりにプレイしたゲームなので印象面で順位を下げました。
アズール:サマーパビリオン/Azul Summer Pavilion
アズールシリーズ第3段。半アブストラクトなパズル的頭脳ゲームです。同時に厚みあるタイルや高さのあるタワー(タイルを放り込む)、美しいイラストが描かれたゲーム盤も魅力的で高い満足感を与えてくれます。
その気になれば(というよりも人間の能力がものすごく高ければ)かなり先まで見通して手を選択できます。その際、自身のゲーム盤でのパズルだけでなく、他のプレイヤーの選択肢も考慮したマルチゲーム的思考も求められます。効率よく取ろうと頑張ったのに、よく見たら次の人が大喜びということも…。パズル的・効率追求的思考と、他のプレイヤーがどのタイルを欲しがっているのかを考えるインタラクションの多さが同居するデザインが素晴らしいですね。
3位
リネイチャー/Renature
シンプルルールで、システムがゲームの楽しさを規定する感じが好きです。90年代的です。木の「ドミノ」も厚みがあり質感が良いものです。
ゲーム盤には碁盤の目状にマス目が切ってあります。いくつもの島状の陸地とそれを区切る水路とがあります。水路に長さ2マス程のドミノ的タイルを置きます。それに接した陸地に各プレイヤー色の植物コマを置き、マジョリティー争い・陣取りをします。各プレイヤーがどのプレイヤーにも所属しない中立コマを持っているところにも特徴があります。中立コマはダミープレイヤーのように動き、ゲーム展開を複雑にします。
3枚しかない手札タイルから1枚置いては補充を繰り返します。一見運の要素が大きいですが、「雲」を消費することで置くルールを柔軟に変更して(ジョーカー動物の変更)運ゲー感を下げています。また、プレイヤーを指定してのいわゆる「殴り合い」要素(直接攻撃)がありますが、極めて現代的です。殴るのに「名目が必ずある」とか「仕方ないけれど殴る」との声もありました。
2位
花見小路/Hanamikoji
花見小路は日本の同人ゲームから始まった2人用カードゲームです。記憶によれば、同人ゲームとして発表後、台湾のメーカーから発売されて、その後ドイツでも超大手であるコスモス社から発売されました。BoardGameGeekを見るとさらに多くの国でも各国語版が発売されているようです。
花見小路のキモはいわゆるケーキの切り分けです。つまり、ケーキを平等に分けるには、切った人が最後に選べばいいという仕組みです。そのケーキの切り分けと「バトルライン」、「ローマ七丘」的旗取りが合わさっています。
花見小路では短いラウンドを決着がつくまで繰り返し行います。取り合う芸者さん(バトルラインで言う旗)のその時点での結果はそのままです。同じルールで同じカードセットを使ってゲームを繰り返すにも関わらず、ラウンドごとに盤面が異なるために戦略が変わってくるのです。この辺りもすごく面白い。
また、カード枚数が極少数のこともありカウンティングが重要になります。
一回一回の選択が重く、手番側回ってくるのが辛くなる苦しさがあります。でも、そこが面白い。そして繰り返し遊びたくなる。多くの人に経験してほしいゲームです。
1位
サンマルコ/San Marco
2001年のボードゲーム。イラストが素晴らしく、魅力的です。「トーレス」の人と聞いて納得。
システムは陣取りです。陣取りで2位になると支払うコストに対してリターンが良い仕組みで、相乗りが重要なマルチゲームとなります。橋の存在がピリリといい味を出します。
キモとなる選択肢はいわゆるケーキの切り分けです。つまり、ケーキを平等に分けるには、切った人が最後に選べばいいという仕組みです。この仕組みを採用した中では相当に古いゲームになるのではないでしょうか。
システムは単純にして面白い、高完成度のボードゲームだと思います。
まとめ
2020年べストボードゲーム10も、だいぶ近年の好みが出ました。つまり、1990年代ゲームやその流れを受けた、プレイ時間60分以内のゲームです。新作もありますが、同様の傾向があります。
記念すべき個人サイトお髭処20周年の年でしたが、新型コロナウイルスの影響でプレイしたゲームは少なくなっています(→「新型コロナウイルスCOVID-19の流行でボードゲーム会を中止して」)。
ではまた次年版でお会いしましょう。