狂気山脈は、H.P.ラヴクラフトによる怪奇小説、いわゆるクトゥルフ神話をモチーフとしたボードゲームです。協力ゲームで、プレイヤー全員がチームとなって協力し、全員で勝利を目指します。全員が勝利する、あるいは全員が敗北する結果となります。
−1931−
南極への探検旅行において、科学者たちは−−誰がどう見ても−−未だ人が足を踏み入れたことの無い高峰連なる山脈の向こうに、膨大な規模の古代都市の痕跡を発見した。
あなたたちがこの山々を踏破し、学術的価値のある遺物を発見して、それからこの呪われし地を脱出するためには、互いにうまくコミュニケーションをとって協力する必要がある。
そして何より、その生命と正気を失わないように注意しなければならない!
(ルールブックより)
システマチックなパーティーゲームという印象を受けました。クトゥルフものなだけに、プレイヤー達が操るキャラクターもだんだんと狂気に陥ってきます。すると、正常な行動が取れなくなります。その状態は、本人だけがわかるようカードで渡されて、その通りに行動しないといけません。例えば、「数字を一切言うことができず、代わりに指を使って表す」とか、「砂時計で計り始めた際に、まず他のプレイヤー全員とハイタッチをする」とか、「床に座り込んで立ち上がれない」など。コミュニケーションが肝の協力ゲームではなかなかに致命的です。
一緒にプレイしたnemmyさんの分析が面白いものでした。これはつまり、協力ゲームにおける「奉行問題」への一つの答えなのだと。奉行問題とは、協力ゲームでリーダーシップを発揮する人が強力にそれを進めるあまり、他の人が自分の考えを表現したりゲームに反映できず、ゲームが面白くなくなると言う問題です。ロールプレイをさせることにより、奉行を防いでいると言うのです。(コミュニケーションが制限されて協力しにくくなるのです)
「海岸」から順に、「山脈」、そこにあるはずのない「都市」、「狂気の果て」と順に探索し、飛行機で脱出します。まっすぐに脱出すべきか、遺物の発見を優先して今いる地域をもっと回るべきか等、皆で話し合いながら進んでいくのが盛り上がります。僕は原作小説は未読ですが、ぜひ読みたくなりました。他にも同様の人が出ました。ロールプレイングゲーム的な、ストーリーに入り込む魅力があります。
地味ながら5人まで遊べるのもいいところ。人数は多い方が面白そうです。
原作の「狂気の山脈にて」は「ラヴクラフト全集」第4巻に収録されています。いつの間にか漫画化もされていました。
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リンク
- Mountains of Madness | Board Game | BoardGameGeek https://boardgamegeek.com/boardgame/214293/mountains-madness
- Mountains of Madness | IELLO http://www.iellogames.com/mountains-of-madness.html
- 青空文庫 図書カード:狂気の山脈にて http://www.aozora.gr.jp/cards/001699/card57858.html
- 作者:H・P・ラヴクラフト
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1985/11/29
- メディア: 文庫