お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

NHK サイエンスZERO で「ネット社会の未来をさぐる」

NHK 教育の科学番組、サイエンスZERO。3月18日(土)放送の回のテーマは「ネット社会の未来をさぐる」だった。
哲学が専門の大学教授も含めて、出演者は全体的にインターネットでコミュニケーションが変わる、変わっているという点を前向きにとらえていたのが印象深い。毎週出演の、「ブログの女王真鍋かをりも、「友達がブログで普段話題にしない事を書いているのをみてその人の知らない面を知るなど、コミュニケーションが変わった」など体験に基づいた洞察が多く面白かった。
僕の記憶では取上げたのは、blog、検索エンジンSNSIPv6、インターネット対応家電、車のワイパーの速さを収集して局地的な雨の強さをリアルタイムで測る実験、ボット。45分の番組でよくこれだけ詰め込んだものである。
これは、「人と人の通信」、「人と物の通信」、「物と物の通信」を順に取上げたのだと思う。
まず、blog、検索エンジンSNS が人と人の通信。検索エンジンが人と人なのは、blog で急速に増える文書を選別して、その blog にたどり着くのに重要な技術だからだと思う。
IPv6 は人と物の通信、物と物の通信の基盤となる技術として紹介だろう。
次に、インターネット対応家電は人と物の通信。番組ではインターネット越しにペットにエサをやれる機械を紹介していた。これにはカメラがついているそうで、出先から自宅の犬の様子を見ることが出来るらしい。同様に出先から機械を操作してエサを出す事ができるらしい。カメラで見たペットの体調をみてエサの量を調整できるとの事。つまり機械から人間が情報を受取ったり、機械に命令を送るなどの通信をする事の紹介だろう。
そして、車のワイパーの速さを収集して局地的な雨の強さをリアルタイムで測る実験は、物と物の通信だろう。沢山の車の情報を集めて価値を出すという話だ。他にも、車の走行する速さを収集して渋滞情報をつくるといった例を紹介していた。
これを見て数ヶ月前のインターネットマガジンの記事を思い出した。

多くの人にとってインターネットというと、メールのやりとりやネットサーフィンだと思われるが、我々技術者にとっては「もの」と「もの」をつなぐ技術なのである。挑戦者である技術者からすると、もうつながっている「パソコン」をつなぐのは「できて」いるのだから、まだつながっていないものをつなぎたいと思う訳である。

こういった研究の成果をテレビで紹介したと言えるだろう。
ボットは新技術の暗い面を紹介したのだろう。科学番組なのだから、そういった視点からの切り口は重要だと思う。
さて、僕はこの番組は好きでだいたい見ているのだけど、コンピュータやインターネットについてはあまり取上げられた事がなくちょっと残念に思っていた(最近高専プログラミングコンテストを取上げた回があったが、開発の過程がえらく大変だったという話ばかりで物足りなかった。そんなに過程を取上げるのならきちんとソフトウェア工学の話もすればいいのに。大会前日に徹夜してコードを書いて本番で動かなかったなんて事を取上げても悪い例としか思えない。)。最近インターネットで熱い事と言えば Web 2.0 と感じてそれ関連の事ばかり見ていたけれど、今回の様な切り口も面白かった。番組で言っていたが、まさに「インターネットは壮大な実験中」だと改めて感じた。
再放送は3月22日(月) 27:15からBS2と、3月23日(火) の24:00から教育テレビとの事。取上げられた内容を聴いた事がない方には例を挙げて分かりやすく、そうでない方にも出演者の考察が役立つと思う。お勧めです。

その他雑感

その他に今回の番組の感想など。
Yahoo! Japan では、様々なキーワードで検索して検索結果が最適かチェックしている人たちがいるらしい。へぇ。
SNS として Mixi を(会社名が分からない様に)紹介していたけど、Mixi ってそんなに閉じた世界かなぁ。でもきっとつくった人は分かっていてあえて語らなかったんでしょう。SNS の特徴と矛盾して分かりにくくなるし。
blog を書くのに手間があまりかかりません、っていう話のときに本文内で改行タグが XHTML 風だった。あえて語らないけど番組をつくっている私たちはインターネットについてきちんと知っていますよってアピールされている様だった。
全体的に言葉の言い回しに非常に気をつけている感じ。僕が普段分からないだけで普段からこうなのか、インターネットを扱うと、意見を送る人が多くて特に気をつけているのか。
Tim O'Reilly は What is Web 2.0 で、データは次世代の「インテルインサイド」だと言った。ここでのデータとはデータベースに蓄えるものと思っていたが、ここでのワイパーの例の様に、リアルタイムのデータも価値が高そうだ。独自性があり、同じものを作ることが難しいデータソースをコントロールする。このデータソースは利用者が増えるほど、充実していくものでなければならない。にまさに当てはまる。また、これまで Amazon がユーザの商品についてのコメントを持っていたり、オークションサイトがユーザの評価の点数のデータを蓄えているから、後発の同業者が極めて追いつきにくいという話だと理解していたが勘違いだったようだ。What is Web 2.0 ってかなり色々な事を深く書いているなあ。
ワイパーの例は、ユーザが意識しないで参加する集合知だ。ユーザが意識しないで、かつ手間を掛けずに参加する手段として、専用機器を車などの機械やモバイル機器に取り付けるのはいい手段だと思った。PC のソフトやインターネットのサービスでもユーザが意識せずに集合知の構築に役立つ手段はないかな。はてなRSSなどはすでにそうか。

追記(2006年3月21日)
誤字を修正した。
追記(2006年3月24日)
番組のテーマを「ネットの未来をさぐる」から「ネット社会の未来をさぐる」に修正。たった2文字ですが大分違います。
追記(2006年4月2日)
今回の番組の紹介ページへのリンクを放送予定のページから、過去の放送内容のページへ修正。予想通りなのだけど、あまり URI は変えないで欲しいなあ。作る人も大変だろうに。新しいページによると、「インターネットを良く知るための基礎知識を紹介。『ブログ』『検索エンジン』『IPアドレス』の3つを取り上げた。」との事。今回の記事は僕の考えすぎか。