お髭処blog

ドイツのものを中心としたボードゲーム・カードゲームのプレイ記録・感想を中心としたブログです。最新のドイツゲームから、紀元前から伝わるゲーム、旧西ドイツ製のレアゲーム、日本伝統の博打まで幅広くプレイしています。

日本科学未来館 「サイエンス+フィクション」展に行って来た

昨日、東京お台場の日本科学未来館(http://www.miraikan.jst.go.jp/)に行って来た。目当ては「サイエンス+フィクション」展(http://www.miraikan.jst.go.jp/j/sp/science+fiction/index.html)だ。「サイエンスなフィクション」じゃなくて「サイエンスとフィクション」だ。
前日に MYCOM PC WEB (http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2006/02/26/sf/) の記事を見て思い出した。開催期間の最終日である。友の会会員なのでこの企画展は知っていて、以前から行こうと思っていたのに危ない危ない。

この企画展は、自動車のフォルクスワーゲン社が設立した、「フォルクスワーゲン財団(http://www.volkswagenstiftung.de/)」が制作したらしい。

2002年からヨーロッパ各地の美術館、博物館、教育機関等で開催されている巡回展『サイエンス+フィクション』。アジア初の開催となる本展は、科学と芸術の融和を目指し、フォルクスワーゲン財団(独)の設立40周年を記念して制作されました。

この財団は、1962年にフォルクスワーゲン社が科学技術の研究及び教育を目的に設立した非営利財団 らしい。フォルクスワーゲンがこの様な科学の教育に関わる活動をしていたとは初めて知った。しかも、博物館等向けのイベントを作成(作成なのか企画なのかよくわからないのだけど)して国をまたいで巡回展を開いているとは。非常にいい事だと思う。僕も今回はその恩恵にあずかって来た。まあ、入場料として400円(友の会会員価格)は払ったのだけど。

知識社会の未来を語るためには、高度に複雑化した科学の役割を捉え直す必要があります。『サイエンス+フィクション』は、「社会と科学」というテーマに芸術が関わり、それによって国際社会のあり方や科学の役割について、新たな議論を巻き起こそうという試みです。

会場には、5つのテーマごとにアーティストの作品が展示してある。つまり、芸術で科学を表現しているという事。全体のテーマは「社会と科学」(多分)。科学が社会に与える影響は小さく無い。専門家以外の人も科学を理解するのは重要だと思う。その為にこういう試みは非常にいいと思う。

特に印象的だったのは科学者をテーマにした作品。科学者はそうでない人とは全く異なった理論でもの事をとらえる傾向がある、人々の科学者に対して持つイメージは科学番組に出てくる人ではなく印象的なフィクションに出てくる科学者像であると感じた。先端科学を理解するには科学者を理解するのも重要な事だと思った。

地味に過激な展示もあった。ユナボマーが一部では英雄視されていると書いてあった。なぜかこのページにあるのと同じ FBI による似顔絵付き。犯行声明を引用して彼の科学文明を否定する思想を説明していた。産業革命以降全部駄目との事である。爆弾で人を殺す事は全く賛成できないが、言っている事は鋭い。「機械が発達して人々が理解できないほど複雑になると、人工知能の判断を人々は判断の理由を理解せずに採用する様になる」(うる覚え。ちょっと違うかも。)という点は、Google が高度に発展した今気をつけるべきだと思った。

一つ一つの展示品は解説を見たり聞いたりしないとよくわからないものが多かった。「考えるのではない、感じるのだ。」(ブルース・リー)と言われている様だったが、全体としてはテーマが伝わって来た。

展示を一通り見た後には、会場の入り口にあった次の言葉は真実だと体験を持って確信する様になっていた。

科学の高度な理論というものは、もはや科学の言語において定義することも認識することもできないような世界を描きだそうとしている。その理論が現実世界で真に機能するためには、それをまったく別の言葉で言い表す、ある種、鏡のような文学的表現が必要なのかもしれない。